旅先で村上と出会う
コロナウイルスが広がる前、英国のエジンバラに行った。いつも、どこを見て回るかは皆で話し合って決める。その日は娘がお洒落な雑貨屋さんに行きたいとのこと。
エジンバラ城から少し下った坂道の途中に、その店はあった。フレンドリーな若い女性店員さんがいた。目に留まった商品はパスケース。革製でデザインが秀逸である。ちょうど本棚に本が並んでいるような。そして背表紙には本のタイトルまでがちゃんと書かれている。
その中に何と村上春樹のタイトルがあったのだ!すぐさま店員さんにそのことを話し、私は村上のファンだと伝えたところ、彼女も村上文学が好きだという。そこから、村上ワールドの深さ、ファンタジーの面白さなどを話し合った。拙い英語ではあるが、好きな内容について笑顔を話し合えたという経験は本当に良い旅の思い出になった。
その光景を横で見ていた、ほとんど本を読まない息子はどう思ったであろうか。「読書ー旅先での出会い」という、インターネットでは味わえない経験は尊いのだよ。