Hiro Education

「考え方」を変えたら、楽しくなる

海外での子育て、そして在日外国人の子育て。

 子どもが小学生のころ、イギリスに9カ月間、滞在した。あちこち電話をかけまくり、受け入れてくれる学校を探したところ、カトリック系の小学校がOKしてくれた。副校長と面談したら、「翌日から来ていいよ」と言われて何と優しい学校なのだろうと感動したものだ。日本だと役所の手続きが大変だと思う。
 まず驚いたのは低学年の場合、児童たちは自由に床などに座って授業を受けること。日本のように教壇に先生が立ち、子どもはきれいに並んだ机に大人しく座る必要がない。そもそも、低学年の子どもに動くなとかしゃべるなという方が無理でしょう。それから、教室にくだものを入れたかごが置いてあり、いつでも食べられるということ。
 さて、長期間、海外で子育てをするとなると、高学年になるに従い、いじめや学習面などさまざまな出来事が起きると思う。最近読んだ本2冊は、海外現地校での子育ての経験談である。

 

ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』という本は、イギリス地方都市の底辺中学校での母親と息子との悪戦苦闘がユーモアと批判に満ちた文で書かれた傑作だ。人種差別、貧困などイギリス社会の厳しい現実の中で逞しく育つ子どもに感動する。
 一方、中島さおり『哲学する子どもたち』は、フランスの中学校に入学した子どもと母親の話の本だが、フランスの教育事情について詳しく書かれている。タイトルにもあるように、フランスの学校で学ぶ子どもたちは「考える」ことを常に求められる。「哲学」は偉大な哲学者の思想を習うのではなく、様々な事柄を「哲学する」ことなのだという。この本は日本の教育の欠点を知る上で大いに参考になる。

 学校文化や教育制度は国によって大きく異なる。経済が停滞している現在、日本人が海外で子育てをする人はこれから減るかもしれない。しかし、日本に来る外国人は年々増加しており、日本で教育を受ける子どもたちも急増している。というか、日本に暮らす海外出身の子どもたちはきちんとした教育を受けられないでいる。まず、教育を受ける権利を海外出身の子どもたちに保証することが大切だ。
 それにしても、日本の学校教育は海外の人にとって魅力ある内容になっているのだろうか…。