Hiro Education

「考え方」を変えたら、楽しくなる

本当は実用的な「哲学的思考」

12月も半ば。しかし海外では抗議の声を上げている人々がいる。フランスの年金改革、香港の民主主義、気候危機…。
 なぜ声を上げるのか?それは、今の社会状況が人々の幸福をダメにしていると考えたからだ。日本人は、幸福は個人的で主観的なものと思いがちである。しかし、世界の多くの人は幸福は「感じる」ものであると同時に、「考える」ものだと思っている。
 フランスの高校生は大学に入るためのバカロレア試験で哲学科目を学ばねばならず、「幸福」は哲学の重要なテーマなのだ。そして、フランス人が哲学で学ぶのは、思考の訓練であり、哲学的に考える技術は、幸福に生きるための武器を与えてくれるという(坂本尚志『バカロレア幸福論』星海社)。教育を通して、彼らはこうして「思考の型」を身につけていくが、同時に自分の頭で「考える」ことにもなる。
 「幸福とは?」「人生の目的とは?」
 答えのなさそうな、問いではあるが、実は生きていく上で、とても大切で実践的な問題だ。哲学的思考は、本当は実用的なツールだということが日本人にはよくわかっていなかった。徹底的に考え、言葉で表し、他人と議論し、行動する。西洋社会が培ってきた教育文化から学ぶものは多い。国際バカロレアが日本でも広がりつつあるが、形式ではなく、哲学的思考をしっかり取り入れることが重要だろう。

f:id:hiroedu:20191214130005j:plain