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「考え方」を変えたら、楽しくなる

「よちよち」と「よたよた」の間

毎日の楽しみの一つに「折々のことば」(『朝日新聞』朝刊)がある。

哲学者鷲田清一氏の撰と解説による、珠玉のことばである。

今朝は解剖学者の三木成夫(みきしげお)のことば。

三木の『海・呼吸・古代形象:生命記憶と回想』を読んで、目からウロコがおちる経験をした。人間の身体が空洞であること、口が内蔵の一部であり、赤ちゃんが何でも口に入れることは免疫をつけることと、外界を認識するため、というようなことが書かれていたように思う。現在、腸の役割が重視され出しているが、三木は早くから腸管系の大切さを指摘していたことに驚かされる。

 

さて、8月2日の「折々のことば」では、

「わずか「タ」と「チ」の違いで何十年も年をとる」

という三木のことばが引用されている。

つまり、「よちよち」から「よたよた」へ。

たった一音の響きの変化が数十年の時の経過を表すのだという。

いわゆるオノマトペの妙である。

鷲田はその後、人はやがて「よろよろ」になり、いつか「よぼよぼ」「よれよれ」に

になりもする、とつっこみを入れている。

何故このようなオノマトペが誕生したのか、実に不思議だ。

外国人の日本語学習者にとっては最も難しい日本語表現の一つである。

すでに50代。

今の自分は「よちよち」と「よたよた」の間だが、何と表現できるだろうか。